文章:将積 稔牧師(あやめいけキリスト教会)
森永製菓のマーク(商標)をご存じでしょうか?
アルファベットのMにエンジェルのマーク。それにはちゃんと理由があります。
今をさかのぼること約100年。2人の青年が米国から帰国した。
2人とも年齢を同じくし、2人とも米国で洋菓子の技術を身につけ、また、2人とも米国滞在中にキリスト教信仰を持つようになっていた。当時の日本ではまだまだキリスト教への理解が薄く、そのうちの1人山崎は養父母から勘当されて実家(森永家)に帰され、もう1人の岩越は妻を離縁されてしまっていた。
帰国後、森永太一郎のほうは1899年に東京で旗揚げし、自作のキャラメルを手押し車に積んで、それに聖書の言葉が書かれたノボリをたて、伝道と商売とに励んだ。彼こそは森永製菓の創業者なのであり、あのエンジェルマークはその精神を汲んで1905年に社標に定められたものである。
他方、もう1人の岩越政蔵は、郷里の鳥取県倉吉市(現在)に帰り、1898年10月からひたすら伝道活動に打ち込んだ。因習の深い山陰の地に教会は証しし、少しずつ成長していた。岩越の没(1945年)後になるが、戦後は米国から宣教師も送られ、関西にも拠点を持つようになった。(※実は岩越自身、身分は宣教師であった)その群は今も存続し、1972年には日本アドベント・キリスト教団を組織、鳥取県と関西を中心に現在13の教会と2つの関連集会が愛知県以西に点在している。
1998年、私たちアドベントの群は「アドベント日本宣教100周年」をむかえる。100年という年月は、日本におけるプロテスタント(新教)の歴史をほとんどカバーするし、日本の近代史の大部分とも重なっている。
「100周年」を契機に、その100年間を振り返り、また、われわれ(第一義的にはアドベントの群を意味するとともに、いろんな意味での)の未来ー21世紀への展望を試みるべく、準備が進められている。